導入事例|医療法人アイランドリゾート
開業1年後、スタッフ6名が全員退職。「医院経営は人」と気づいた理事長が、DoctorHRで目指す成長支援
沖縄アイランドデンタルクリニック DoctorHR導入事例
評価制度を、人を評価するためではなく、スタッフの成長を支援するための仕組みにしたい
お話を伺った方
医療法人アイランドリゾート 理事長/沖縄アイランドデンタルクリニック 院長
関塚 知義 先生
沖縄県読谷村で、予防を中心とした歯科医療を提供する沖縄アイランドデンタルクリニック。医院が掲げる理念は、「患者様、スタッフ、関わるすべての人々とhappy-happyの関係を築くこと」です。
現在はスタッフ18名、関塚先生を含めて歯科医師3名の体制へと成長し、離職もほとんどない組織になりました。しかし、その原点には、開業1年後に当時のスタッフ6名全員が退職するという経験がありました。
その後、スタッフが成長できる環境づくりを進めるなかで人事評価制度を導入したものの、紙中心の運用負担や、理念に沿った行動を評価しにくいという課題が表面化。評価を「人を選別する仕組み」ではなく「一人ひとりの成長を支援する仕組み」に変えるため、DoctorHRを導入しました。
今回は関塚知義理事長に、組織づくりの原点、DoctorHR導入前の課題、制度設計で大切にしたこと、今後目指す組織の姿について伺いました。

導入事例のポイント
| 導入前の課題 | 自己評価、幹部評価、理事長確認のすべてを紙で行い、30項目前後の確認に大きな時間がかかっていた |
| 制度上の課題 | 職種別スキルは評価できても、理念への共感や医院への貢献といった行動を可視化しにくかった |
| 選定理由 | クラウドで管理できることに加え、信頼する歯科医師から実際の活用について推薦を受けた |
| 制度設計 | 専門スキルに加え、理念を体現する行動をポイント制度として具体化した |
| 今後の展望 | 自己評価と客観評価の差を成長につなげ、役割、キャリア、給与まで見える仕組みをつくる |
1.「関わるすべての人を幸せに」――医院づくりの原点
――まず、医院で掲げている理念について教えてください。
関塚理事長:当院では、「患者様、スタッフ、関わるすべての人々とhappy-happyの関係を築くことをお約束します」という理念を掲げています。
歯科医療の仕事は、患者さんのお口を通じて健康になっていただくことです。その先には、患者さんに幸せになっていただくという目的があります。
ただ、患者さんに幸せになっていただくためには、そこで働くスタッフも幸せでなければなりません。関係する業者の方々や、私を含めたスタッフそれぞれの家族も同じです。関わる人たちが幸せであることが、最終的に患者さんの幸せにもつながると考えています。
そうした環境をつくっていきたいという想いから、この理念を掲げました。
――スタッフの皆さんと接する際に、意識していることはありますか。
関塚理事長:当院は、単に仕事をするためだけの場所ではないと考えています。
スタッフ一人ひとりが、それぞれの人生の目的やゴールに向かって、仕事を通じてどう成長し、自分の人生を豊かにしていくのか。それを大切にしています。
月に一度のミーティングや朝礼などでも、仕事の話だけではなく、こうした考え方を繰り返し伝えています。それが、現在のスタッフとの距離感やコミュニケーションにもつながっているのかもしれません。
――東京での勤務を経て、沖縄で開業した背景を教えてください。
関塚理事長:東京で勤務医をしていた頃は、治療を中心とした診療を行っていました。しかし、治療した患者さんが再び治療を受けるために来院される状況を見て、「何のために治療をしているのだろう」と考えるようになりました。
そこで重要だと感じたのが、虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、病気になる前に防ぐ「予防」です。
私が移住した当時、沖縄県は12歳児のDMFT指数、つまり一人あたりの虫歯経験本数が全国でも非常に多い地域でした。この環境を少しでも変えていきたいという想いもあり、沖縄での開業を決めました。
――組織づくりにおいて「人」を大切にするようになった、決定的な出来事があったそうですね。
関塚理事長:開業当初、私は多額の借金を抱え、6名のスタッフと一緒にクリニックをスタートしました。しかし、開業から1年後、その6名全員が退職してしまったんです。
ありがたいことに、当時も多くの患者さんに来院していただいていました。ただ、次の日からスタッフが誰も来なければ、患者さんを診ることすらできません。
もちろん利益は重要です。借金を返済し、スタッフに還元するためにも利益は必要です。しかし、そもそも一緒に働くスタッフがいなければ、医院は成り立たない。その経験を通じて、「医院経営で最も大切なのは人なのだ」と気づきました。
それから、スタッフが成長できる仕組みや、安心して働き続けられる環境づくりに取り組んできました。現在はスタッフが18名まで増え、私以外にも2名の歯科医師が在籍しています。離職もほとんどない状態になりました。
患者さんが来てくださっていても、スタッフがいなければ医院は回らない。そのとき、医院経営で最も大切なのは“人”だと気づきました
2.制度はあっても運用できない――紙の評価制度で感じた限界
――DoctorHRを導入する前から、人事評価制度は運用されていたのでしょうか。
関塚理事長:評価制度自体は数年前から検討し、導入していました。
まずスタッフ本人が自己評価を行い、その内容を幹部スタッフが客観的に評価し、最後に私が確認するという流れです。ただし、すべて紙で運用していました。
一人につき30項目ほどを一つずつ確認する必要があり、スタッフ本人にも、評価を行う幹部にも、最終確認をする私にも大きな負担がかかっていました。評価に多くの時間を取られるため、制度を継続的に運用することが難しかったのです。
――評価項目の内容については、どのような課題がありましたか。
関塚理事長:歯科衛生士やトリートメントコーディネーターとして必要な技術や知識は、比較的評価しやすい部分です。段階を設定し、そのスキルができているかを確認できます。
一方で、当院が大切にしている理念への共感や、医院への貢献といった部分は、評価することが難しいと感じていました。
理念を理解しているかどうかは、本人に尋ねるだけでは分かりません。理念に共感している人が、日々どのような行動を取っているのか。そこまで具体化しなければ、評価にも成長支援にもつなげられないという課題がありました。
3.スキルと理念の両方を可視化する――DoctorHRを選んだ理由
――DoctorHRを知ったきっかけと、導入を決めた理由を教えてください。
関塚理事長:以前からSNSなどを通じてDoctorHRを知っており、成長支援を目的とした評価制度には関心を持っていました。
導入の大きなきっかけになったのは、仙台で歯科医院を経営している大学時代の先輩からの紹介です。実際に医院を成長させている信頼できる先生がDoctorHRを導入しており、「いいサービスだよ」と直接話を聞けたことが、導入を決める後押しになりました。
紙ではなくクラウド上で評価を管理できることも、これまで感じていた運用負担を解決するうえで重要でした。
――今回、DoctorHRで「スキル評価」と「ポイント制度」を構築しました。どのような狙いがありますか。
関塚理事長:職種ごとの専門的なスキルは、段階を設定しやすく、比較的評価しやすいものです。一方で、当院が特に大切にしているのは、医院の理念や目的にどれだけ共感し、それを日々の行動で体現しているかという点です。
そこで今回の構築では、「理念に共感しているスタッフは、具体的にどのような行動を取るのか」というところまで落とし込みました。専門スキルはスキル評価で確認し、理念に沿った行動や医院への貢献はポイント制度で可視化する設計です。
これまで評価しにくかった、目に見えない貢献や行動を制度の中に組み込めたことは、当院にとって大きな意味があると感じています。
――自己評価と管理者評価をクラウド上で比較できることで、フィードバックはどのように変わると考えていますか。
関塚理事長:本人による自己評価と、幹部や管理者による客観的な評価を比較できることが大きなポイントです。
例えば、本人は自分を「4」と評価していても、管理者から見ると「2」かもしれません。そのとき、単に評価が低いと伝えるのではなく、「なぜ2なのか」「4に近づくためには何が必要なのか」を具体的に話し合えます。
スキルや理念に沿った行動を可視化することで、感覚だけに頼らず、一人ひとりの成長につながるフィードバックができるようになると考えています。
4.評価から成長支援へ――キャリアと待遇が見える組織を目指す
――スタッフの皆さんには、この評価制度をどのように受け止めてほしいですか。
関塚理事長:この制度は、スタッフに優劣をつけたり、できていないことを指摘したりするためのものではありません。
まずは現在の自分を正しく知り、成長するために何が足りていないのかを確認するためのものです。
当院のスタッフは成長意欲が強く、患者さんに貢献したいという気持ちを持っています。患者さんにより貢献するためには、自分自身の成長が必要です。自分にはどのような力があり、どの部分を伸ばす必要があるのかを知り、「どうすれば成長できるのか」を考えるためのツールとして活用してほしいと思っています。
――DoctorHRを通じて、今後どのような組織をつくっていきたいですか。
関塚理事長:これまでも、医院の理念や私自身の想いは、毎月のミーティングなどでスタッフに伝えてきました。しかし、スタッフ自身が何を目指し、現在どの段階にいるのかを示す具体的な基準は、十分ではありませんでした。
医院が成長し、患者さんが増えていくなかで、自分はどのように成長していけるのか。何年後にどのような役割を担い、どの程度の給与や賞与を得られるのか。こうしたキャリアの道筋を具体的に可視化していきたいと考えています。
目指す姿が明確になれば、スタッフのモチベーションや成長意欲にもつながります。DoctorHRを、一人ひとりの将来と医院の成長を結びつける仕組みにしていきたいです。
――最後に、同じような組織課題を抱えている院長先生へメッセージをお願いします。
関塚理事長:歯科医院を経営している先生方が、最終的に行き着くのは「人」の問題ではないでしょうか。
どれだけ院長が技術を高めても、日々、患者さんと最も近い距離で接するのはスタッフです。だからこそ、スタッフの成長がクリニックの成長につながります。
ただ「成長してほしい」と伝えるだけでは、スタッフは具体的に何をすればよいのか分かりません。必要なスキルや、理念を体現する行動を明確にし、どこまで成長すれば、どのような役割や待遇を得られるのかを示すことが重要です。
私自身、さまざまな人事評価制度を調べ、試行錯誤してきました。評価制度を「人を評価するためのもの」ではなく、「スタッフの成長を支援するためのもの」として活用することが、より良い組織づくりにつながると考えています。
スタッフの成長が、クリニックの成長につながる。評価制度を、誰かを評価するためではなく、成長を支援するための仕組みにしていきたいです
編集注
本記事はDoctorHRの制度構築・導入時に実施したインタビューをもとに作成しています。取材時点では導入直後のため、導入後の成果ではなく、導入背景、制度設計の狙い、今後の展望を中心に掲載しています。また、現在のスタッフ数や離職状況は、DoctorHR導入以前から医院が継続してきた組織づくりの結果であり、DoctorHR導入による成果として記載するものではありません。
