組織拡大でスタッフ10名から約60名へ。“ひずみ”に向き合い、成長支援制度で「育つ組織」をつくるまで

医療法人赤心会 バウムクーヘン歯科クリニック 
事務長 神野真子様

課題スタッフ数が10名から約60名へ拡大する中で、院長の考えが現場に伝わりにくくなり、評価・対話・育成の仕組み不足による組織のひずみが表面化していた。
施策DoctorHRを導入し、360度評価・規律投票・ベスト投票・説明会・フィードバック面談を通じて、評価を「査定」ではなく「人が育つ仕組み」として運用した。
効果頑張る人が報われる環境が整い、前向きな対話や一体感が生まれ、離職の減少や組織の土台づくりにつながった。

医療法人赤心会 バウムクーヘン歯科クリニック 事務長 神野真子様

スタッフ数が増えることは、医院の成長の証です。
一方で、人数が増えたからこそ見えてくる課題もあります。

「院長の考えが現場に伝わらない」
「頑張っている人が正当に評価されない」
「会議が前向きな議論ではなく、問題処理の場になってしまう」
「人間関係の不満が水面下で広がっていく」

こうした悩みは、決して珍しいものではありません。むしろ、医院が順調に拡大しているからこそ起きやすいものです。

今回ご紹介するのは、広島県大竹市で地域の患者さまに幅広い診療を提供する歯科医院の事例です。開業当初10名だった組織は、現在では約60名規模へ。医院として着実に成長を続ける一方で、組織運営の難しさにも直面していました。

そんな中で同院が取り組んだのが、DoctorHRを活用した「人が育つ仕組みづくり」 です。

人事評価制度というと、昇給や賞与を決めるための仕組みと思われがちです。
しかし、この医院がDoctorHRに期待したのは、単なる査定の仕組みではありませんでした。

目指したのは、
頑張っている人が報われること
院長の思いが組織に届くこと
スタッフ同士が前向きに働けること
そして、スタッフが増えても揺らがない組織の土台をつくること でした。

本記事では、DoctorHR導入前にどんな課題があったのか、なぜ導入を決めたのか、導入後に何がどう変わったのか、そして運用の中でどのような改善を重ねてきたのかを、リアルな言葉をもとにご紹介します。

医院紹介

|地域密着で幅広い診療を行う歯科医院

同院は、広島県大竹市に位置する歯科医院です。山口県との県境にあり、広島市内からも距離がある地域特性上、歯科医師や歯科衛生士の採用は決して簡単ではありません。患者さまは0歳のお子さまからご高齢の方まで幅広く、ご家族で通院される地域密着型の医院です。診療は保険診療を中心に、インプラント、ワイヤー矯正、マウスピース矯正などにも対応。14ユニットすべてが完全個室で、カウンセリングルームや託児対応のキッズルームも備えています。

医院としての挑戦を続けながら、組織もまた拡大していきました。
6年前に10名でスタートした組織は、現在では約60名にまで成長しています。

しかし、その成長の裏側では、人数が増えたからこそ起きる“組織の揺らぎ”が少しずつ表面化していきました。

人事評価制度の導入前の課題

「なんとなくのマネジメント」ではもう回らない

スタッフ数が少ないうちは、院長や幹部が現場全体を把握しやすく、多少仕組みが整っていなくても回ってしまうことがあります。
ただ、組織が拡大すると、それまでのやり方では限界が来ます。

実際に同院では、次のような問題が起きていました。

新人スタッフが院長へ直接意見を伝え、院長に情報が集中してしまう。
チーフが把握していない内容まで院長に上がり、指揮系統が曖昧になる。
スタッフからは「院長が何を求めているのかわからない」という声が出る。
さらに、人数が増えたことで、誰が意欲的で、誰に伸びしろがあり、誰にフォローが必要なのかが見えにくくなっていきました。

加えて、より深刻だったのが、職場の空気の変化です。
休憩室ではスタッフ同士の悪口や、医院に対する不平不満が聞こえてくるようになりました。幹部ミーティングも、本来なら未来に向けた話し合いをする場であるはずが、いつしか問題処理に時間を取られるようになっていったといいます。

この状態を振り返って、同院では「なんとなくのマネジメントでは回らなくなっていた」と語っています。
しかも、その兆候はスタッフ数が60名になってから突然起きたのではなく、もっと早い段階から始まっていたはずだとも振り返っています。

つまり、表面化した問題の前に、すでに水面下で“ひずみ”が広がっていたのです。

見えていたのに見過ごしていた“組織のひずみ”

同院では、当時の状況を「見えないひずみ」と表現しています。
スタッフ数が増えるにつれ、価値観のズレが広がる。声の大きいスタッフの影響が強くなる。トップの考えが十分に伝わらない。こうした状態は、最初は大きなトラブルとしては見えません。けれど、放置していくと、やがて悪口、不満、疲弊、幹部のパンクといった形で表面化していきます。

実際、同院でも一時は経営コンサルタントを入れ、従業員面談も実施したそうです。
ただ、その結果として課題ばかりが浮き彫りになり、院長も事務長も疲弊し、負のスパイラルに入っていったといいます。

ここで重要なのは、ひずみは「完全に見えない」わけではないということです。
向き合おうとすれば見える。けれど、日々の診療で忙しく、どう手を打てばよいかわからないまま、見て見ぬふりをしてしまう。多くの医院が陥りやすいのは、まさにこの状態ではないでしょうか。

課題の根っこにあったもの

では、問題の本質は何だったのか。

同院では、課題を掘り下げた結果、根っこには次の3つがあったと整理しています。

育成の仕組みがなかったこと
対話が足りていなかったこと
トップメッセージの発信が足りていなかったこと

これは非常に示唆的です。

人間関係の悪化も、院長への情報集中も、スタッフの不満も、個別の問題に見えて、実はバラバラに起きていたわけではありません。
「人が育つ仕組みがない」
「言葉を交わす場がない」
「経営者の思いが届いていない」
この3つが重なることで、組織全体が少しずつ揺らいでいたのです。そこで同院が選んだのが、DoctorHRを活用した成長支援制度の導入でした。

DoctorHR導入の決め手

評価制度ではなく、“成長する仕組み”が必要だった

同院がDoctorHRに期待したのは、「人を点数で評価すること」ではありませんでした。
求めていたのは、人づくり・組織づくりを仕組み化すること です。

人事評価制度というと、どうしても昇給・賞与・査定のイメージが先に立ちます。
しかし同院は、人事評価制度を“成長支援制度”として位置づけていました。つまり、評価を通じてスタッフの行動や対話を変え、組織の土台をつくるものとして捉えていたのです。

最初の一歩は、情報収集から始まりました。
まずは本で学び、自力で制度をつくろうとしたものの、その難しさを痛感。次に外部の支援会社を調べるなかで、医療機関特化で支援をしているDoctorHRを見つけ、60分無料相談に申し込んだそうです。そこで医院の状況を一緒に整理できたことが、大きな転機になったと振り返っています。この流れは、まさに導入事例で伝えるべきポイントです。
「最初から正解が見えていた」のではなく、
「課題を感じ、情報を集め、自力では難しいと知り、外部の力を借りる決断をした」
このリアルさこそ、これから制度導入を検討する医院にとって大きな参考になります。

導入後の取り組み①

360度評価で、組織の空気を変える

DoctorHR導入後、同院が取り組んだ中心施策のひとつが360度評価でした。

導入によって、現場には少しずつ変化が生まれていきます。

以前は会議が問題処理の場になっていましたが、トラブルが減り、前向きな検討事項を話せるようになった。
スタッフの積極的な発言が増え、「この項目で高得点を取りたい」といった前向きな言葉が出るようになった。
「院長が何を考えているのかわからない」という状態が、「院長からも見てもらえている」という感覚へ変わっていった。
さらに、制度説明の時間そのものが、理念や行動指針を伝える場にもなっていったといいます。

中でも特徴的なのが、規律投票ベスト投票 です。

規律投票では、医院で働くうえで守ってほしい項目を明確にし、守れていない場合に票が入る仕組みをつくりました。これにより、スタッフから「意識的に気をつけています」といった発言が聞かれるようになり、マイナスな言動も減っていったそうです。

一方のベスト投票では、医院として推奨したい行動や態度を項目化し、その項目に最もふさわしいスタッフへ投票します。結果発表は毎月の朝礼で行い、発表者は必ず院長。直接名前を呼ばれ、褒められることが、スタッフの大きなモチベーションになっているといいます。ここで見えてくるのは、DoctorHRが単なる評価ツールではなく、望ましい行動を言語化し、組織内で共有し、称賛する仕組み として機能していることです。

導入後の取り組み

トップメッセージを“伝わる形”で届け続ける

同院が特に重視していたのが、トップメッセージの継続的な発信 です。

どれだけ制度が整っていても、経営者の考えが現場に伝わらなければ、制度は形骸化します。
実際、導入当初に不安を感じていたのは既存スタッフではなく、むしろ新しく入職したスタッフだったそうです。「評価し合うこと」に戸惑いを感じる人もいたため、新人向け説明会を年に数回実施し、ルール変更時には全スタッフ向け説明会も開いて、丁寧に意図を伝えるようにしました。

この積み重ねによって、スタッフが「これは大切な取り組みなんだ」と納得し、前向きに参加しやすくなったといいます。

制度は、つくっただけでは機能しません。
なぜやるのか
何を目指しているのか
この医院はどんな組織でありたいのか
それを、院長や経営層が何度でも言葉にする必要があります。

DoctorHRは、そのメッセージを制度運用の場面に乗せて届けやすくする土台にもなっていたのです。

導入後の取り組み

制度を「完成品」ではなく、育てるものとして運用する

同院の事例で特に参考になるのが、制度を固定化しなかったこと です。

たとえばベスト投票は当初、毎月実施していました。ところが、チーフから「頻度が高く負担が大きいのではないか」という声が上がり、2か月に1回へ変更。評価データを集めたい気持ちと、現場負担のバランスを見直しました。

また、接遇評価も最初は全スタッフで評価し合う形式でしたが、「普段あまり関わらない人を評価しにくい」という課題が見え、現在は職種ごとに分ける形へ変更しています。

さらに、制度そのものについてチーフへアンケートを取り、多くの改善案を吸い上げたうえで見直しを実施。従業員の声を反映した新制度へアップデートしたことを、説明会で全体に共有したそうです。運用を重ねるなかで同院がたどり着いた考え方は、
「人事評価制度は育てていくもの」
というものでした。

これは、制度導入を検討する医院にとって非常に重要なメッセージです。
最初から完璧な制度をつくろうとすると、導入できません。
大切なのは、走りながら改善し続けることです。

運用中のサポート体制について

システムだけでは終わらない。DoctorHR導入後に必要だった“人のフォロー”

同院では、システム活用のメリットも実感しています。
たとえば、ベスト投票のコメント記入時には、以前は「誰が誰に宛てたコメントなのかわかりにくい」という課題がありました。そこで改善要望を出したところ、DoctorHR側でシステム改善が行われ、使いやすさが向上したといいます。

ただし、同院が強調しているのは、仕組みやシステムだけでは足りない ということです。

DoctorHRの360度評価導入と同時に、チーフによるフィードバック面談もスタート。面談では、制度の目的が「成長をサポートするため」であることを一人ひとりに直接伝えることを重視しました。初めてフィードバックを担当するチーフには、褒めるポイントや成長のヒントを事前に共有し、担当者向け勉強会も実施。制度の質を高めると同時に、チーフ育成にも取り組んでいます。ここに、DoctorHR導入成功の本質があります。
制度を入れたから変わるのではなく、
制度を使って、誰が、どう対話するか まで設計しているから変わるのです。

成長支援制度の導入の成果

「頑張る人が報われる職場」へ

同院は、DoctorHR導入を通じて、組織に次のような変化を実感しています。

頑張っている人が報われる環境が整った。
トップの思いを伝え続けられるようになった。
スタッフと一緒に仕組みを育てる文化ができた。
その結果、チームの一体感が増し、離職が減り、組織の土台が整ってきた。
さらに、経営者とスタッフ双方の笑顔が増えたとまとめています。もちろん、これは一度制度を入れたから完成したわけではありません。
今も改善の途中であり、試行錯誤は続いているそうです。
それでも、「あのとき最初の一歩を踏み出して本当によかった」と感じていることが、言葉の端々から伝わってきます。

まとめ

DoctorHRは、評価制度を“組織が育つ仕組み”に変える

医院経営において、人の問題は最後までつきまとうテーマです。
採用して終わりではありません。
入職後にどう育つか。
どうすれば価値観が揃うか。
どうすれば頑張る人が報われるか。
どうすれば院長の思いが現場に届くか。
そこに向き合わない限り、組織の成長はどこかで頭打ちになります。

今回の事例は、まさにその現実を映しています。
スタッフが増え、組織が拡大するなかで、見えないひずみが生まれた。
けれど、そのひずみから目をそらさず、課題の根っこを見つめ、DoctorHRを活用しながら「育つ仕組み」へ投資した。
その結果、組織は少しずつ変わっていきました。

DoctorHRは、単なる人事評価制度ではありません。
評価を通じて、行動をそろえ、対話を生み、トップメッセージを届け、組織を育てていくための土台です。

「制度は必要だと思うけれど、今は余裕がない」
「導入しているけれど、うまく運用できていない」
そんな医院にこそ、今回の事例は参考になるはずです。

組織が大きくなってから慌てるのではなく、
まだ間に合う今のうちに、
人が育ち、辞めない組織をつくる仕組み を整えていく。

その第一歩として、DoctorHRは有力な選択肢になるのではないでしょうか。

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