
| 課題 | スタッフ増(13名→29名)による組織のまとまりの欠如 |
| 施策 | スキル評価の徹底的な細分化と可視化 |
| 効果 | スタッフが目標を意識し、主体的に動く組織へ変貌 |
札幌市で運動器リハビリテーションに注力するDo-Clinic(ドゥ・クリニック)
組織の急拡大に伴い生じた「組織のバラバラ感」や「評価基準の不在」という壁を、人事評価システム「DoctorHR」の導入と独自の制度設計でいかに乗り越えたのか。院長の道家孝幸氏に、その具体的な施策と劇的な変化を伺いました。
人事評価制度を導入しようと思ったきっかけ
急成長の裏で直面した「組織の壁」
Do-Clinicは2019年の開院以来、1日平均160名を超える患者が来院する地域有数の整形外科クリニックへと成長しました。しかし、スタッフ数が13名から29名へと倍増した開院3〜4年目頃、組織運営において深刻な課題に直面します。
中途スタッフの増加により、組織の方向性がバラバラになり、院長と現場のコミュニケーション不足が顕著になりました。当時は評価制度がなく、道家院長は「頑張っているスタッフを正当に評価したい」と考えながらも、給与や賞与を自身の感覚で決めざるを得ない状況にストレスを感じていました。
また、当初は「医療スキルが高いスタッフ」をリーダーに選任していましたが、マネジメント能力の不足から組織の混乱を招くという失敗も経験します。この苦い経験から、「医療スキルとマネジメントは別物」と痛感し、リーダーの再編と並行して本格的な人事評価制度の構築を決意しました。
DoctorHRを選んだ決め手を教えて下さい
「型にはめる」のではなく「一緒に育てる」姿勢
数ある人事評価ツールを比較検討する中で、道家院長がDoctorHRを選んだ最大の理由は、その根底にある「成長支援」という考え方でした。多くのコンサルティング会社が過去の成功事例をそのまま当てはめようとする中、DoctorHRはクリニック独自のこだわりや変化の激しい現状を理解し、運用しながら制度を育てていく伴走型のサポート体制を提示しました。単なる「管理」ではなく、スタッフを「育てる」ためのツールとして活用できる点、そして多角的な視点からスタッフを見守る「360度評価」の存在が決め手となりました。
取り組んだ具体的施策について
現場を巻き込む「仕掛け」のデザイン
道家院長は、評価制度を「成長支援制度」と改称し、スタッフが納得感を持って主体的に取り組めるよう、複数の「仕掛け」を組み入れました。
1. 業務の徹底的な細分化とスキル手当(職務手当)
「何ができるようになれば給与が上がるか」を明確にするため、各リーダーとともに院内業務を徹底的に洗い出しました。例えば、医療事務の「受付業務」だけでも10項目に細分化し、それぞれを3段階(星3つ)で評価。全30点満点のうち、6割、9割と達成度が上がるにつれて職務手当が増額される仕組みです。
2. 人間力とリンクした等級制度
基本給テーブルは、経験年数だけでなく、クリニックが求める役割(等級)と連動させました。

- フレッシュ(新人)
- ミドル(中堅):主体的な行動、教育指導、ムードメーカー
- マチュア(ベテラン) 人間力として成長し、ミドル以上の等級に昇格しなければ、経験年数が長くても給与が一定でストップする基準を設け、自己研鑽を促しています。
3. ポジティブ&プロミスの360度評価
「人の欠点を探すのではなく、良いところを見つけ合う」ポジティブ評価と、「不平不満を言わない」などのクリニック文化を守るための約束事(プロミス)評価の二段構えで実施。膨大なフィードバック内容は、システム内のAIを活用して要約し、簡便に面談で活用できるようにしています。
4. クリニック目標と連動したポイント制度
骨密度の検査数やリハビリベッドの稼働率といった数値目標に加え、学会発表や読書感想文の提出、改善提案などの主体的な行動を「ポイント」として評価。獲得ポイントに応じて賞与を上乗せすることで、クリニックのビジョンと個人の頑張りを直結させました。
導入後の変化について教えて下さい。
スタッフの行動変容と院長の精神的余裕
運用開始から1年、クリニックには劇的な変化が現れました。

スタッフの主体的行動 ポイントや目標を意識する文化が根付き、今まで本を読まなかったスタッフが読書感想文を書く、部署を越えて新しい業務に挑戦するといった行動変容が起きました。「これは自分の仕事ではない」という壁がなくなり、チーム全体の協力体制が強化されています。
採用力の向上 求職者への見学対応時にこの評価制度を紹介することで、「しっかりとした評価基準がある安心感」として高く評価され、採用面でも大きな武器となっています。院長のストレス軽減 「お金(給与・賞与)の決定」という大きなストレスに対し、明確な根拠と自信を持ってスタッフへ提示できるようになりました。スタッフ一人ひとりの仕事観や頑張りが可視化され、面談もより深いコミュニケーションの場に進化しています。
最後に今後取り組みたいことを教えてください。
完成ではなく「ブラッシュアップ」し続ける
道家院長は、「評価制度は作って終わりではない」と強調します。
初年度は賞与の基準設定が甘く投資額が増加しすぎるといった失敗もありましたが、それも糧として毎年見直しを続けています。最初から完璧を目指すのではなく、まずは「70点」で運用を始め、自院の課題を言語化し続けることが、スタッフとクリニックが共に成長し続ける未来への近道であると考えています。

