奈良県葛城市にある堀内歯科。開業から40年、現在は12台のユニットを持つ大規模医院として、地域に根差しながら成長を続けています。その裏には、「人が辞める組織」から「自律するチーム」へと変化を遂げた背景がありました。
本記事では、人事評価制度構築ツール「DoctorHR」の導入を通じて起きた変化と、医院が目指す未来像について、副院長の堀内香里先生にお話を伺いました。
導入 | 2014年に法人化。奈良県葛城市へ移転。地域密着の大規模医院へ |
人事評価制度の課題 | 矯正強化の方針を打ち出した際、、1年で6人が退職。組織の価値観がバラバラだと痛感 |
導入の決め手・効果 | 「このままでは医院が成長できない」と痛感。サポート体制の充実感から『DoctorHR』を導入 |
今後の展望 | スタッフ同士が互いを尊敬し合い、補い合えるチームに |
地方大規模医院の課題と魅力
まずは、堀内歯科さんについて教えてください。
堀内先生:
当院は1984年に父が開業し、2014年に法人化、2022年に奈良県葛城市へ移転しました。
ユニット数は12台、歯科医師が7名、衛生士や助手、事務、技工士、クリーンスタッフを合わせて30名ほどの体制です(2025年2月時点)。
20年以上勤めるベテランや大阪から通う勤務医もおり、地域密着ながら多様なスタッフに支えられています。
診療の特徴や院内環境にはどのようなこだわりがありますか?
堀内先生:
矯正・インプラント・口腔外科など専門分野に強みがあり、全室個室・動線分離・最新機器を揃えてプライバシーと効率性に配慮しています。また、医科との連携で全身管理が必要な方にも対応可能です。

その裏で見えた「働きやすい組織」の限界
福利厚生や働き方も先進的だとお聞きしています。
堀内先生:
寮の完備、開業支援制度、残業代1分単位支給など、“質の高い診療と働きやすさの両立”を大切にしています。
ただ、それだけでは組織はまとまらないと痛感した出来事がありました。
それがDoctorHR導入のきっかけですか?
堀内先生:
はい。矯正強化の方針を打ち出した際、
「矯正はやりたくない」
「副院長のアシストにつきたくない」
といった声があがり、1年で6人が退職。組織の価値観がバラバラだと痛感しました。
このとき、組織がバラバラで、統率が取れていないことを強く実感しました。
具体的には、スタッフ一人ひとりの仕事観がバラバラで、
自己主張が強く、変化を嫌がる傾向があり、医院の成長のために自ら動いてくれる人が少なかった。
「これはマズい、このままでは医院が成長できない」と痛感し、
人事評価制度の導入を決断しました。
感覚から脱却する「見える化された評価制度」
人事制度導入後、どんな変化がありましたか?
堀内先生:
賞与・昇給の根拠を業績・人時生産性・貢献度・バリュー評価などに基づいてスコア化しました。
昇給は固定+変動の2軸で設計し、「どんな行動が評価されるのか」が明確になり、
「評価が納得できるからやる気が出る」と前向きな意見が増えました。

ポジティブとネガティブの“言語化”が文化を変えた
特に手応えを感じた仕組みは?
堀内先生:
3か月ごとのポジティブバリュー評価です。
役職ごとに重視する項目を変え、スタッフ同士がフィードバックし合うことで「褒め合う文化」が生まれました。

逆に、プロミスバリューでは規律違反行動をルール化し、都度面談で“気づき”を促すアプローチにしています。怒るのではなく育てるという方針です。

自主性を引き出す「スキルチェック」と「ポイント制度」
堀内先生:
スキルチェックは、職種ごとに業務の自立度を見える化する仕組み。昇給や等級アップの基準としても使っています。

また、ポイント制度で「新人育成」「改善提案」などの貢献を可視化。普通に頑張っている中堅層(2:6:2の“6”)が動きやすくなる制度です。

「提案が当たり前」な組織へ
制度によって行動が変わった実感はありますか?
堀内先生:
劇的に変わりました。「これ、変えた方が良くないですか?」といった提案が日常的に出るようになり、
スタッフ間の連携や医院の改善がどんどん進んでいます。

キャリアが見える等級制度と「一体感」の創出
今後の展望について教えてください。
堀内先生:
DoctorHRと連携して「等級制度」を整備中です。
- トレーニークルー
- ジュニアクルー
- フルクルー
- キャプテンクルー(チーフ)
- ナビゲーター(マネージャー)
- リーダークルー(院長)
といったキャリアパスを設け、役割・責任・成長基準を明確化していきます。
「この町に堀内歯科があってよかった」と言われる存在に
最終的に、どんな医院を目指していますか?
堀内先生:
「この地域で歯科といえば堀内歯科」と言ってもらえるような医院にしたいですね。
チームで助け合い、尊敬し合い、患者さんの人生に寄り添う。そして、
医科や介護とも連携して“人生に伴走するかかりつけ機関”になれたらと思います。
DoctorHRの導入は、その第一歩でした。

今回は、堀内香里先生にDoctorHR導入のリアルな取り組みと、そこから生まれた組織の変化について詳しくお話を伺いました。
制度を導入することはゴールではなく、組織をよりよくしていくための“はじまり”。その本質をスタッフとともに実践されている姿が、非常に印象的でした。
堀内歯科様、この度は貴重なお話をありがとうございました!