組織を一つに─人事評価制度で“同じ方向”を向けるチームづくり

おおたきく子クリニック 
院長 太田喜久子先生

歯科医師:1名※院長 
看護師:3名 助手・受付:4名(非常勤1名)
合計:8名

健保連 大阪中央病院 外科 勤務(外科 医長)経て、
大阪の中心部、梅田にて「おおたきく子クリニック」を開業されました。
胃カメラ・大腸カメラ 10,900件以上の実績を誇り、「 胃 が ん ・ 大 腸 が ん 」ゼロを診療理念に展開している医院様です。

今回は、院長・太田喜久子先生に、少人数の医療組織における人事評価制度の導入と、その実践による組織変伺いました。


導入少数精鋭で、生産性を最大化させる医院へ
人事評価制度の課題優秀なスタッフが孤立し、「できる子が一人ぼっちになる」状況に陥った
導入の決め手・効果法人化したことを機に、「どのスタッフから聞かれても答えられる評価制度」が必要だと強く感じた。
今後の展望マインドの浸透をさらに進め、スキルや自発性を評価するポイント制度も段階的に導入予定

法人化を機に「組織づくり」へ本気で向き合う

2023年7月、クリニックの法人化をきっかけに、太田先生は「どのスタッフから聞かれても説明できる評価制度が必要」と痛感。
組織としての基盤が求められる中、Tobe-Ruが提供する医療機関専用の人事評価クラウドシステム「DoctorHR」と出会いました。

「最初は難しそう、高額そう、といった不安がありました。でも、カスタマーの方がとても丁寧に解説してくださって、一気に不安がなくなったんです。『これだ』と確信して、即決しました」

崩壊寸前だった「過去の課題」

人事評価制度の導入前、クリニックは深刻な組織課題を抱えていました。

  • スタッフの入れ替わりが多発
    例えば、入職から1年も経たずに退職してしまうケースが頻発。ご主人の転勤、家庭介護、妊娠・出産など、生活背景による離職が続き、安定した運営が困難な状況が続いていました。人員体制も基本的にはパート(週3日勤務)さんの短時間雇用に依存しており、条件面やスキル面で制限が多く、採用しても長続きしないという悪循環に陥っていました。
  • やる気のないスタッフの存在
    組織目標として掲げていた「内視鏡検査件数の増加」や「患者満足度の向上」に対しても、「そこまでやる必要はない」といった後ろ向きな反応が多く、スタッフの協力が得られませんでした。午前中に空いている予約枠をわざと午後にずらして対応するなど、非効率な対応を黙認する空気もありました。
  • 派閥化と内部いじめの問題
    スタッフ同士がグループ化し、「このグループの言うことを聞け」といった暗黙のルールが出来上がり、院長の指示に従わない空気が蔓延。
    できるスタッフが逆に孤立し、サポートも得られず、気づけば“ひとりぼっち”になってしまうというケースも。
    心理的安全性が崩壊し、チームとしての一体感が著しく損なわれていました。
  • 少人数組織ゆえの深刻な影響力
    常時10名以下のスタッフ構成であるため、1人の影響が全体に及ぶ割合が大きく、成長意欲の高いスタッフが2~3人いたとしても、やる気のない数名に引きずられる形で空気が悪くなり、全体の足並みが揃わなくなることがしばしばありました。

「私が注意しても、“誰のこと?”ってとぼけるようなスタッフばかりでした。これでは患者さんに対して恥ずかしい組織になってしまう、と本気で思いました」

スタッフと共に成長できる仕組みが「人事評価制度」

人事評価制度の導入にあたり、太田先生は大きな気づきを得たと語ります。

「スタッフに伝えるには、自分自身がきちんと理解し、言語化できないといけない。それまでは“なんとなく”の感覚で組織を見ていた部分もあったんです。でも、院長として、理事長として、経営者として、組織の仕組みをきちんと理解してスタッフと共に成長していく責任があると痛感しました」

太田先生は“同じ方向を向くスタッフ”の定義を明文化しました。

  • 素直で真面目であること
  • 最低限の専門スキルを持っていること
  • 指示待ちではなく、自ら考えて動けること
  • 報連相(報告・連絡・相談)ができること

これらの要素は、採用・教育・評価のすべてにおいて基準となる価値観として、スタッフにも共有されています。

360度評価がもたらした意識の変化

DoctorHRの目玉機能の一つが「360度評価」。
スタッフ全員が互いに評価し合い、フィードバックを受け取る仕組みです。

360度評価の回答画面※これはデモ画面です。

「最初はみんな不安そうでしたが、始めてみると思った以上に前向きな意見が多くて。評価を通じて、自分の強みや課題に気づけるようになってきました」

特に印象的だったのは、受付スタッフが自ら新人教育用のチェックリストを作成し、360度評価の項目をもとに教育を始めたこと。
院長からのトップダウンではなく、スタッフ主導の“教育文化”が芽生え始めています。

また、価値観が合わないスタッフが自然と離職するなど、組織の自浄作用も見られるようになりました。

評価制度は「文化づくり」そのもの

スキル評価、行動基準評価、360度フィードバック、ポイント制度(今後導入予定)など、
DoctorHRの機能は多岐に渡ります。しかし太田先生は、「大事なのは制度そのものではなく、それを通じて生まれる“文化”」だと語ります。

「スタッフが自分の成長を感じられること。それが組織の文化を変え、患者さんへのサービスにもつながるんです」

「評価制度を入れることは、ある意味で厳しさも伴います。でも、私が覚悟を決めて取り組むことで、スタッフも一緒に成長していける。そんな組織にしていきたいです」

今後はマインドの浸透をさらに進め、スキルや自発性を評価するポイント制度も段階的に導入予定。
太田先生の挑戦は、まさに“医療機関における組織開発のロールモデル”となりつつあります。

資料をダウンロードする