本記事では、「評価制度を導入したら、スタッフの意識や行動は変わるのか?」という院長先生からよくいただくご相談について、DoctorHRが考える人事評価制度のあり方をご紹介します。
評価制度は、導入するだけでスタッフの行動が変わる“魔法の仕組み”ではありません。
大切なのは、評価をスタッフの査定で終わらせるのではなく、一人ひとりが「何を目指し、何を頑張ればよいのか」を理解できる「成長支援制度」として運用することです。
| 課題 | 評価制度を導入しても、医院として目指す方向やスタッフに求める成長が共有されていなければ、「私は頑張っているのになぜ評価されないのか」「何を頑張れば評価されるのか分からない」といった認識のズレや不満につながる。 |
| 施策 | まず医院として目指すビジョンを明確にし、その上で「どのようなスタッフに成長してほしいのか」「どのような行動を求めるのか」を言語化。評価シート、スキル評価、個人目標、ポイント制度、実績数値、面談などを連動させる。 |
| 効果 | スタッフが自分の現在地と次に目指す場所を理解しやすくなり、自発的な改善提案や行動改善、次の目標設定につながる。評価制度を「評価するための制度」から「成長を支援するための制度」へ変えることができる。 |

評価制度を導入しただけでは、スタッフの行動は変わらない
「評価制度を導入したら、スタッフの意識や行動は変わりますか?」
私たちも、日々多くの院長先生からこのようなご相談をいただきます。
結論からお伝えすると、評価制度は“入れただけ”では、スタッフの行動は変わりません。
むしろ、制度だけを導入してしまうと、
「私は頑張っているのに、なぜ評価されないんですか?」
「結局、何を頑張れば評価されるんですか?」
といった不満につながってしまう可能性があります。
評価制度を導入すると、「評価シートをどう作るか」「何点なら昇給するのか」といった仕組みの部分に意識が向きがちです。
もちろん、評価項目や基準を整えることは重要です。
しかし、それだけではスタッフの行動は変わりません。
なぜなら、スタッフ一人ひとりが考えている「頑張る」と、医院が求めている「頑張ってほしいこと」が一致しているとは限らないからです。
患者さまへの対応を頑張っているスタッフ。
診療がスムーズに進むように、周囲のサポートを頑張っているスタッフ。
院外セミナーへ参加し、知識や技術を身につけようとしているスタッフ。
どれも決して間違いではありません。
ただ、医院として「どの方向に成長してほしいのか」が共有されていなければ、評価をしたときに認識のズレが生まれてしまいます。
「私はこんなに頑張っているのに、どうして評価されないんだろう」
評価制度への不満が生まれる原因は、評価項目そのものではなく、「医院が目指している方向」と「スタッフが頑張っている方向」が揃っていないことにあるケースも少なくありません。
まず必要なのは「どの山を目指すのか」を示すこと
組織づくりを「山登り」に例えてみましょう。
スタッフに一生懸命山を登ってもらう前に、まず決めなければならないことがあります。
それは、「どの山の、どの山頂を目指すのか」です。
つまり、
「このクリニックは、これからどんな医院を目指していくのか」
「院長先生は、どんな組織をつくりたいのか」
という、医院としての中長期的なビジョンです。
スタッフの皆さんは、日々それぞれ一生懸命仕事をされています。
しかし、目指す方向が共有されていなければ、それぞれが自分なりの「頑張る」を続けることになります。
いわば、山頂が分からない状態で、それぞれが別々の方向へ一生懸命山を登っている状態です。
その状態で評価だけをすると、
「私はこんなに頑張っているのに」
という認識のズレが生まれてしまいます。
一方で、院長先生が目指している方向が明確になり、
「この医院では、こういうことを大切にしています」
「皆さんには、こういう風に成長してほしいです」
という道しるべが示されれば、スタッフ側も、
「では、自分は何を頑張ればいいのか?」
を具体的に考えられるようになります。
評価シートは、スタッフを成長させる“魔法のシート”ではない
医院として目指す「山頂」が見えた上で、初めて具体的な評価の仕組みが活きてきます。
例えば、スタッフの成長を支援する仕組みには、
・評価シート
・スキル評価
・個人目標
・プロジェクト目標
・ポイント制度
・患者数などの実績数値
・面談・フィードバック
などがあります。
ここで大切なのは、評価シートそのものがスタッフを成長させるわけではないということです。
大切なのは、「どこを目指すのか」と「そのために何を頑張ればいいのか」をつなげることです。
医院として目指す方向がある。
その中で、スタッフに求める役割がある。
そして、その役割が日々の具体的な行動へ落とし込まれていく。
そのための一つの道しるべが、評価シートです。
評価制度は「スタッフに点数をつける仕組み」ではありません。
スタッフが自分の現在地を知り、次に何を目指せばよいのかを確認するための仕組みとして活用することが重要です。
評価制度を「成長支援制度」に変える3つのステップ
評価制度を「成長支援制度」として機能させるためには、大きく3つのステップがあります。
STEP 01|医院の方向性を示す
どのような医院・組織を目指していくのかを明確にする。
まず、医院としてのビジョンや将来像を明確にします。
STEP 02|求める成長を示す
スタッフにどのように成長してほしいのかを言語化する。
医院が目指す姿を実現するために、スタッフ一人ひとりにどのような役割や成長を求めるのかを整理します。
STEP 03|行動につなげる
評価・目標・面談を通じて、日々の具体的な行動へ落とし込む。
評価項目や目標設定を、日々の行動へつなげていきます。
つまり、最初から評価項目を考えるのではありません。
① 医院として、何を目指すのか
↓
② どのようなスタッフに成長してほしいのか
↓
③ そのために、どのような行動をしてほしいのか
という順番で考えることが重要です。
この流れが整理されていれば、評価項目にも一つひとつ意味が生まれます。
スタッフへの説明も、単に、
「この項目で評価します」
と伝えるのではなく、
「私たちはこういう医院を目指しているから、この行動を大切にしています」
と説明できるようになります。
評価される理由まで理解できることで、スタッフにとっても制度への納得感が生まれやすくなります。
成長支援制度の運用で、実際に見られたスタッフの変化
私たちが支援させていただいている医院様でも、成長支援制度を運用する中で、スタッフの意識や行動にさまざまな変化が見られています。
スタッフ側から改善提案が出るようになった
医院として目指す方向や、自分が頑張るべきことが明確になったことで、スタッフの自発性が高まったケースがあります。
「医院をもっと良くするために、こうしてみませんか?」
それまで院長先生や幹部から指示を受けて動くことが中心だったスタッフから、このような改善提案が出るようになりました。
医院が大切にしていることを理解したことで、「自分も医院づくりに関わっている」という意識が生まれた一つの変化です。
「改善してほしいこと」が伝わるようになった
院長先生が以前から、
「ここは、もう少し改善してほしい」
と感じていた部分についても、評価項目や成長基準として言語化することで、スタッフ本人に伝わりやすくなります。
院長先生にとっては「当たり前」だと思っていることでも、スタッフ側からすると、何を求められているのか分からないケースがあります。
そこで、求める行動を明文化します。
するとスタッフ自身も、「医院から自分に何が求められているのか」を理解しやすくなります。
その結果、スタッフ自身が課題に気づき、行動の改善につながったケースもあります。
スタッフ自身が「次の目標」を持つようになった
評価を通じて、自分の成長や現在地が見えるようになることも、大きな変化の一つです。
「次はここまでできるようになりたい」
「○月までに、このレベルを目指したい」
このように、自分自身で次の目標を持ち、以前より意欲的に仕事へ取り組むようになったスタッフもいます。
自分が今どこにいるのか分からなければ、次にどこへ進めばよいのかも分かりません。
一方で、
「今はここまでできている」
「次はここまでできれば、さらに成長できる」
ということが分かれば、スタッフ自身も次の行動を考えやすくなります。
これは、単純に「評価されたから変わった」ということではありません。
自分の現在地と、これから目指す場所が分かったからこそ、次の行動を自分で考えられるようになった。
ここに、評価制度を「成長支援制度」として活用する大きな意味があります。
評価制度は「導入」がゴールではない
評価制度を導入すること自体は、あくまでスタートです。
評価シートを作る。
スタッフへ制度を説明する。
実際に評価を行う。
もちろん、どれも必要なことです。
しかし、そこで終わってしまえば、評価制度は少しずつ形だけのものになってしまいます。
本当に大切なのは、評価を通じてスタッフ一人ひとりの成長について考えることです。
・今、どこまでできているのか
・本人の強みはどこなのか
・これからどこを伸ばしていくのか
・次にどんな目標を設定するのか
・医院としてどのように成長を支援するのか
こうしたことを、評価や面談を通じて継続的に話し合っていきます。
院長先生自身が、
「スタッフに、どんな風に成長してほしいのか」
を考える。
そして、スタッフの皆さんにも、
「自分は、これから何を頑張っていくのか」
を考えてもらう。
その対話を繰り返しながら、院長先生とスタッフが一緒に成長していく。
そのための仕組みとして評価制度を活用する。
これが、私たちが考える「成長支援制度」です。
DoctorHRは、評価シートを作るだけではない
DoctorHRでは、単に評価シートを作成して終わりではありません。
院長先生が描いている医院のビジョンや、今後どのような医院・組織をつくっていきたいのか。
そして、スタッフの皆さんにどのように成長してほしいのか。
そうした部分から一緒に整理し、一人ひとりが成長していくための「道しるべ」づくりをお手伝いしています。
医院の状況に合わせながら、
・評価項目の設計
・スキル評価
・個人目標の設定
・プロジェクト目標
・360度評価
・ポイント制度
・フィードバック面談
・評価制度の運用・改善
などを組み合わせ、その医院に合った制度へと育てていきます。
評価制度の目的は、スタッフに点数をつけることではありません。
スタッフ一人ひとりが、「自分は今どこにいて、次に何を頑張ればよいのか」を理解できる状態をつくること。
そして、自分自身の成長を実感しながら、前向きに仕事へ取り組める組織をつくっていくことです。
「評価する制度」から「成長を支援する制度」へ
評価制度は、入れれば組織が変わる魔法の仕組みではありません。
ただ、スタッフが「何を目指し、何を頑張ればいいのか」を明確にするきっかけにはなります。
医院として目指す方向を示す。
その上で、一人ひとりに期待する役割や、成長してほしい方向性を言葉にする。
そして評価を通じて、自分の現在地を知る。
自分の強みや課題を理解し、次の目標に向かって行動する。
その積み重ねが、スタッフ一人ひとりの成長につながり、やがて医院全体の成長へとつながっていきます。
「評価するための制度」から、「成長を支援するための制度」へ。
評価制度をスタッフを管理するためのものではなく、一人ひとりが前向きに成長していくための仕組みとして活用する。
それが、DoctorHRが考える人事評価制度です。
まとめ
評価制度を導入しただけで、スタッフの意識や行動が自然に変わるわけではありません。
重要なのは、まず医院として「どこを目指すのか」を明確にすることです。
そして、
「どのようなスタッフに成長してほしいのか」
「そのために、何を頑張ってほしいのか」
を具体的に言語化していきます。
その上で、評価シート、スキル評価、目標設定、ポイント制度、実績数値、面談などを活用し、スタッフ自身が自分の現在地を確認できる仕組みをつくります。
自分が今どこにいるのか。
次にどこを目指せばいいのか。
そのために何を頑張ればいいのか。
これらが明確になることで、スタッフは次の行動を自分自身で考えやすくなります。
評価制度を「人を評価するための仕組み」で終わらせず、「人を成長させるための仕組み」へ。
DoctorHRでは、医院のビジョンや組織課題から整理し、スタッフ一人ひとりの成長につながる人事評価制度づくりをサポートしています。
「評価制度はあるけれど、うまく活用できていない」
「スタッフに何を目指してほしいのか、うまく言語化できていない」
「評価をスタッフの成長につなげたい」
このようなお悩みをお持ちの先生は、ぜひ一度ご相談ください。
