01クリニックの賞与査定で、こんなお悩みはありませんか?
院長先生や事務長が悩みやすいのは「いくら支給するか」だけではありません。スタッフから「なぜこの金額なのか」「なぜあの人より少ないのか」と聞かれたとき、納得感のある説明ができないことが、現場で大きな問題になりやすいポイントです。
- 毎年、院長の感覚で賞与額を決めている
- 頑張っているスタッフとそうでないスタッフに差をつけづらい
- 看護師・医療事務・歯科衛生士など職種ごとの評価基準が曖昧
- 賞与面談でスタッフに不満を言われるのが怖い
- 紙やExcelで評価シートを集計しており、運用が大変
- 評価結果を賞与にどう反映すればよいかわからない
賞与は、スタッフにとって大切な報酬である一方、クリニックにとっては大きな人件費でもあります。前年踏襲や院長の主観だけで決めてしまうと、不公平感や不満につながる可能性があります。
02クリニックにおける賞与査定とは
賞与査定とは、スタッフに支給する賞与額を決めるために、一定期間の勤務状況・貢献度・医院の業績などをもとに評価するプロセスです。月給が定期的に支払われる固定報酬であるのに対し、賞与は夏・冬などに支給される一時金として設計されることが一般的です。
クリニックの賞与査定では、主に次の3つを整理する必要があります。
-
賞与に回せる原資を決める
医院全体として、どの程度の金額を賞与に充てられるのかを決めます。
-
スタッフへの配分ルールを整理する
常勤・パート、職種、勤続年数、役職などによってどのように配分するかを決めます。
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個人評価を設計する
勤務態度・業務遂行度・スキル・貢献度・目標達成度などをもとに、一人ひとりの賞与額に差をつけます。
この3つが整理されていないと、「なんとなく去年と同じくらい」「院長の印象で決める」といった属人的な賞与査定になりやすくなります。
03賞与査定が曖昧だと起こりやすい問題
04クリニックの賞与額を決める基本的な計算式
基本計算式
×
支給月数
×
評価係数
例)基本給 25万円 × 支給月数 1か月 × 評価係数 1.1 = 賞与 27万5,000円
基本給
賞与計算の土台となる金額です。「基本給のみを対象にするか」「職務手当・資格手当を含めるか」を事前に定めておき、賃金規程や就業規則と整合性を取っておくことが重要です。
支給月数
「基本給の何か月分を支給するか」を示します。医院の業績・資金繰り・設備投資・採用計画などを踏まえて決定します。夏冬の慣例に縛られず、実態に合わせた設定が大切です。
評価係数
個人評価を賞与額に反映するための係数です。S〜D評価と対応させる方法が一般的です。
| 評価 | 評価係数 | 考え方 |
|---|---|---|
| S評価 | 1.2 | 期待を大きく上回る貢献 |
| A評価 | 1.1 | 期待を上回る貢献 |
| B評価 | 1.0 | 期待通りの貢献 |
| C評価 | 0.9 | 一部改善が必要 |
| D評価 | 0.8 | 大きな改善が必要 |
評価係数を作るだけでなく、「何をすればS評価か」「何が不足するとC評価になるのか」を明確にすることが重要です。基準が曖昧なままでは、係数があっても納得感は生まれません。
05賞与査定で決めておくべき支給ルール
支給対象者
常勤スタッフのみを対象にするのか、パートスタッフも対象にするのかを整理します。パートスタッフに賞与を支給しない場合でも、その理由を合理的に説明できる状態にしておくことが望ましいです。
査定期間
夏季賞与は12月〜5月、冬季賞与は6月〜11月など、いつの働きぶりを評価するのかを決めておきます。査定期間が曖昧だと、評価する側もされる側も納得感を持ちにくくなります。
支給日在籍要件
賞与支給日に在籍していることを条件にする場合は、就業規則や賃金規程に明記しておきます。退職予定者や退職済みスタッフへの支給はトラブルになりやすいポイントです。
中途入職者の扱い
査定期間の途中で入職したスタッフについては、満額支給にするのか、在籍期間に応じて按分するのかを事前に決めておきます。
業績悪化時の扱い
「医院の業績により支給しない場合がある」などの条件をあらかじめ定めておきましょう。就業規則や雇用契約書で賞与支給を確約している場合は、社労士などの専門家への確認をおすすめします。
産休・育休取得者の扱い
不在期間をどのように扱うか、査定期間中の勤務実績をどう評価するかについては、就業規則や社内ルールと整合性を取ることが大切です。
06クリニックの賞与査定で使える評価項目
07職種別に見る賞与査定項目の例
看護師
診療補助の正確さ、採血・検査補助、患者さんへの説明力、感染対策の徹底、医師との連携、後輩指導、緊急時の対応力、患者さんへの配慮と声かけ
医療事務
受付対応の丁寧さ、電話対応の品質、会計処理の正確さ、レセプト業務の理解度、予約管理、クレーム対応、患者さんへの案内力、院内の情報共有
歯科衛生士
予防処置の技術、患者さんへの説明力、リコール率への貢献、カウンセリング力、診療補助の正確さ、後輩指導、患者さんとの信頼関係づくり、自費診療への提案力
歯科助手・看護助手
診療準備の正確さ、器具の管理、片付け・清掃、患者さんの誘導、医師・衛生士のサポート、周囲への気配り、院内環境の整備
助手職は院長の目が届きにくい場面で医院を支えていることが多い職種です。裏方の貢献をきちんと評価項目に入れることで、納得感が高まります。
08賞与査定でトラブルを防ぐための注意点
- 評価基準を後出しにしない(査定期間開始前に共有する)
- 有給休暇の取得を理由に不利益な評価をしない
- 産休・育休取得者への扱いを事前に就業規則と整合させる
- パートスタッフとの待遇差は合理的な説明ができる状態にする
- 賞与額だけを伝えて評価理由を説明しない、はNG
- スタッフの不満で評価結果を安易に変えない
09スタッフに納得される賞与査定の進め方
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STEP1:賞与原資を決める
売上や利益だけでなく、今後の資金繰り・設備投資・採用計画・借入返済も踏まえて判断します。
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STEP2:支給ルールを確認する
就業規則・賃金規程と実際の運用がズレていないかを確認します。
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STEP3:評価項目を決める
医院として重視したい行動を評価項目に落とし込み、スタッフに事前共有します。
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STEP4:自己評価を実施する
スタッフ本人に自己評価してもらい、どのように自分の働きぶりを捉えているかを把握します。
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STEP5:上長評価・360度評価を行う
院長だけでなく同僚や他職種からの評価も取り入れ、裏方の貢献を把握します。
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STEP6:評価結果を賞与額に反映する
評価係数などを使って賞与額に反映し、評価と金額のつながりを説明できる状態にします。
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STEP7:賞与面談でフィードバックする
賞与額を通知するだけでなく、評価内容・改善期待・次の行動をセットで伝えます。
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STEP8:次の目標設定につなげる
「次回は何を頑張れば評価されるのか」を具体的に伝え、賞与査定を成長支援の機会にします。
10賞与面談で使える伝え方の例
「今回は全体的に見てこの金額にしました」「みんな同じくらいなので、この金額です」「院長判断です」——このような伝え方では、スタッフは何が評価され、何が不足していたのかを理解できません。
「今回の賞与は、医院全体の業績・あなたの評価結果・半期の取り組みをもとに決定しています。特に患者さんへの対応とチーム内でのサポートは高く評価しています。一方で、次回は後輩への声かけや業務改善の提案を増やせると、さらに高い評価につながります」
面談では必ず①今回評価した点 ②改善・期待している点 ③次回に向けた具体的な行動の3点をセットで伝えましょう。
11クリニックの賞与査定チェックリスト
- 賞与の支給対象者は明確か
- 査定期間・支給日在籍要件は就業規則に明記されているか
- 中途入職者・パートスタッフの扱いに合理性はあるか
- 賞与原資の決め方は明確か
- 評価項目はスタッフに事前共有されているか
- 職種別の評価項目が設けられているか
- 評価結果と賞与額のつながりを説明できるか
- 院長の主観だけに偏っていないか
- 見えにくい貢献(裏方・後輩指導など)を評価できているか
- 面談で評価理由と次の期待行動を伝えているか
- 評価結果や面談内容を記録として残しているか
まとめ|賞与査定は「金額決定」から「成長支援」へ
クリニックの賞与査定は、単に金額を決める作業ではありません。スタッフに「何を頑張れば評価されるのか」を伝え、次の成長につなげるための重要な仕組みです。まずは①支給ルールの明確化 ②評価項目のスタッフへの共有 ③面談での評価理由の説明——この3点を整えるだけでも、賞与査定の納得感は大きく変わります。
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