ドミノ退職をきっかけに、人事評価制度を“成長支援制度”へ。高針台デンタルオフィスがDoctorHRで実現した組織づくり

高針台デンタルオフィス おとな歯科こども矯正歯科
院長 木村祐紀先生

高針台デンタルオフィス おとな歯科こども矯正歯科
院長 木村祐紀先生

課題移転開業に伴い医院規模が拡大し、スタッフ数も約2倍に増加。中途採用スタッフの教育負担がチーフ・幹部層に集中していた。
施策DoctorHRを活用し、人事評価制度を単なる査定制度ではなく、スタッフの成長を支える“成長支援制度”として再設計。スタッフ一人ひとりの頑張りや成長の道筋を可視化した。
効果スタッフの見えない頑張りが評価できるようになり、自発的な行動が増加。さらに、キャリアパスを求人に明示できるようになったことで、採用活動にも好影響が生まれた。

小児口腔発達に本気で向き合うため、移転開業を決断

高針台デンタルオフィス おとな歯科こども矯正歯科は、愛知県名古屋市名東区にある歯科医院です。

2014年に開院し、2023年10月に現在の場所へ移転開業しました。

もともとは、マンション1階のテナントで、チェアは最大3台。決して大きな医院ではありませんでした。

開院当初、木村先生は補綴を専門として診療に取り組んでいました。しかし、診療を続ける中で、次第に小児の口腔発達への関心が高まっていきます。

子どもたちの口腔機能や成長発達に本格的に向き合うためには、トレーニングができる広い空間が必要でした。

そこで木村先生は、現在の場所への移転を決断。敷地面積は以前の3〜4倍となり、スタッフ数もおよそ2倍に増えました。

医院として目指したのは、小児の口腔発達を支えるための新しい歯科医院づくり。

しかし、医院の規模が大きくなるにつれて、組織運営にも新たな課題が生まれていきました。


DoctorHR導入の背景|スタッフ数が増え、院長の感覚だけでは評価しきれなくなった

DoctorHRの導入を検討したのは、移転開業のタイミングでした。

スタッフ数が増え、医院の規模が大きくなる中で、これまでのように院長の感覚だけでスタッフ一人ひとりの頑張りを把握することが難しくなっていきました。

特に木村先生が課題に感じていたのは、スタッフの“見えない頑張り”をどう評価するかということです。

診療時間中の働きぶりは、ある程度見えます。

しかし、実際にはそれだけではありません。

勤務時間外に勉強していること。
家で準備していること。
医院のために陰で動いてくれていること。
半期面談の中で初めて見えてくる、スタッフ一人ひとりの努力。

そうした頑張りは、院長から見えにくい一方で、スタッフ本人にとっては「実はやっているのに、評価されていない」と感じやすい部分でもあります。

木村先生は、そうした見えない努力に光を当てたいと考えていました。

もう一つの背景には、ご自身の「褒め下手」という自覚もありました。

良いところは見えている。
スタッフの頑張りも分かっている。
けれど、それを具体的に言葉にして伝えることが得意ではない。

だからこそ、スタッフの良い行動や努力を仕組みとして見える化し、評価やフィードバックにつなげられる制度が必要でした。


導入の決め手|見えない頑張りを評価し、納得感ある給与決定につなげられること

木村先生がDoctorHRの導入を決めた大きな理由は、スタッフの頑張りを可視化し、納得感のある評価・給与決定につなげられることでした。

医院のために努力してくれているスタッフを、きちんと評価したい。

一方で、評価基準が曖昧なままでは、どうしても院長の主観に頼った評価になってしまいます。

特に給与や賞与は、スタッフにとって非常に重要なテーマです。

「なぜこの評価なのか」
「何を頑張れば昇給につながるのか」
「自分は今、どの段階にいるのか」
「次に何を目指せばよいのか」

こうした問いに対して、感覚ではなく、一定の基準に基づいて説明できる仕組みが必要でした。

DoctorHRであれば、360度評価やポイント評価、グレード設計、給与制度を組み合わせることで、スタッフの努力や成長を可視化できます。

単に点数をつけるのではなく、医院が大切にしたい行動や、スタッフに期待する成長を言語化できる。

そして、その評価を給与や賞与にもつなげられる。

木村先生にとってDoctorHRは、査定を効率化するためのシステムではありませんでした。

スタッフの見えない頑張りを見つけ、言葉にし、納得感のある処遇につなげるための仕組み。

それが、DoctorHR導入の決め手でした。


移転後に起きた、想定外のドミノ退職

DoctorHRの導入に向けて人事評価制度の構築を進める一方で、移転後の組織には大きな負荷がかかっていきました。

移転に合わせてスタッフを急増員したことで、中途採用スタッフの教育が必要になりました。

しかし、新しい環境の中で診療を回しながら、同時に教育も行うことは簡単ではありません。

その負担は、チーフや幹部層に集中していきました。

チーフ陣は疲弊し、現場には不協和音が生まれます。
不平不満が水面下で広がり、せっかく採用したスタッフも早期退職していきました。

人が辞める。
また急いで採用する。
余裕がない中で教育する。
新しく入ったスタッフも安心して働けず、また辞めていく。

こうした悪循環の中で、歯科衛生士を中心としたドミノ退職が起きました。

特に木村先生にとって大きかったのは、8年、9年と一緒に医院を支えてきたトップの歯科衛生士が退職したことでした。

歯科衛生士が退職すると、メンテナンスの予約枠が空きます。

チェアが空き、売上にも影響が出る。
外部の歯科衛生士に一時的に来てもらう。
誰が担当するのか分からない状態で、何とか診療をつなぐ。

現場の不安と不満は広がり、スタッフの苛立ちは経理を担当していた奥さまにも向かうようになりました。

木村先生は当時を振り返り、こう感じていたといいます。

「なぜこんなに頑張っているのに、こんなことになるのか」

しかし、この経験が、木村先生にとって組織づくりを根本から見直すきっかけになりました。


根本原因は、制度だけではなく“院長自身のあり方”にもあった

ドミノ退職が起きた当初、木村先生の頭の中には、たくさんの「なぜ」がありました。

なぜ辞めていくのか。
なぜ動いてくれないのか。
なぜやる気にならないのか。
なぜ自分の思うように進まないのか。

しかし、考え続ける中で気づいたのは、課題はスタッフ側だけにあるのではないということでした。

失敗への恐れ。
休むことへの怖さ。
誰かのせいにしたくなる他責思考。
誰にも頼れない我の強さ。
自分を犠牲にしてでも成果を出そうとする働き方。

木村先生は、自分自身のあり方と向き合わざるを得ませんでした。

その中でたどり着いたのが、次のビジョンです。

縁ある人々を自己実現へと導く教育者になる。

それまでの医院理念は、患者さまに向けたものが中心でした。

しかし、ドミノ退職を経験したことで、木村先生は「スタッフの幸せ」や「スタッフの自己実現」も、医院の理念に入れる必要があると考えるようになります。

そして、医院のビジョンにも「自己実現の舞台」という考え方を取り入れました。

スタッフの健康意識を高め、それぞれのビジョン形成と目標設定をサポートし、成長と自己実現の舞台を目指す。

この価値観の変化によって、DoctorHRの位置づけも大きく変わりました。

単に賞与や昇給を計算するための人事評価制度ではなく、スタッフの成長を支援するための制度へ。

木村先生の中で、DoctorHRは“評価制度”から“成長支援制度”へと変わっていきました。


評価・グレード・給与を連動させ、成長の道筋を見える化

DoctorHRを活用するうえで、木村先生が重視したのは、評価だけを独立させないことでした。

人事評価制度。
グレード制度。
給与制度。

この3つを連動させることで、スタッフがどの方向に成長していけばよいのかを見える化していきました。

たとえば、職種ごとの業務遂行能力を言語化しました。

歯科医師。
歯科衛生士。
歯科助手。
クリーンスタッフ。

それぞれの職種で、どのような技術や姿勢が求められるのかを明確にしていきました。

また、役職についても、役割、責任、勤務態度、求めること、昇格基準を言語化しました。

これにより、スタッフは自分が今どの段階にいて、次に何を目指せばよいのかを理解しやすくなりました。

技術を磨いて専門性を高める道。
チーフやリーダーとして、医院経営に近い立場で活躍する道。
育休明けやライフステージに合わせて、今できる成長を考える道。

一人ひとりの状況に合わせて、将来の選択肢を話し合えるようになったのです。


360度評価で、スタッフの良いところを見える化

DoctorHRでまず活用したのが、360度評価です。

スタッフ同士が互いの良いところや、今後期待したいところを評価することで、院長だけでは見えない現場での貢献が見えるようになります。

木村先生の医院では、この評価を通じて、チーフ層、中堅層、新しく入ったスタッフの状態が数字として見えるようになりました。

誰が周囲から信頼されているのか。
誰が現場で良い影響を与えているのか。
どのスタッフにフォローが必要なのか。

これまで感覚的にしか捉えられなかった組織の状態が、データとして把握できるようになりました。

また、スタッフにとっても、自分の良いところを周囲から言葉にしてもらえる機会になります。

評価は本来、人を裁くためのものではありません。

良いところを認識し、成長のきっかけをつくるものです。

DoctorHRの360度評価は、その考え方を医院内に広げるきっかけになりました。


行動基準評価で、求める行動を明確にする

次に取り組んだのが、行動基準評価です。

これは、医院としてスタッフに求める行動を言語化し、その行動が実際にできているかを評価する仕組みです。

木村先生の医院では、クレドを行動基準評価に活用しました。

360度評価はスタッフ全員で評価し合うものですが、行動基準評価では、上司が部下を評価したり、チーフ同士で評価したりする形を取りました。

これにより、医院としてどのような行動を大切にしているのかが明確になります。

たとえば、愚痴や不満を言うことが、組織にどのような影響を与えるのか。
前向きな行動とは何か。
医院の理念に沿った働き方とは何か。

曖昧だった行動基準が言語化されることで、スタッフも自分の行動を振り返りやすくなりました。


ベスト投票評価で、称賛される行動を増やす

木村先生の医院では、DoctorHRのベスト投票評価も活用しています。

項目は、患者ホスピタリティ、スタッフホスピタリティ、急成長スタッフ部門など。

患者さまへの関わり方。
スタッフ同士の支え合い。
新人スタッフの成長。

医院として称賛したい行動を項目化し、スタッフ同士で投票する仕組みです。

特に「急成長スタッフ部門」を設けたことで、新人や1年目のスタッフも評価される機会が生まれました。

ベテランだけが評価されるのではなく、成長している人にも光が当たる。

こうした仕組みは、スタッフのモチベーションにもつながっていきました。


ポイント評価で、見えない頑張りに光を当てる

木村先生が特に力を入れて設計したのが、ポイント評価です。

院内勉強会でプレゼンテーションをする。
オンラインセミナーに参加する。
読書感想文を書く。
ヒヤリハットを提出する。
資格取得に挑戦する。
医院のための企画を提出する。

こうした行動をあらかじめメニュー化し、スタッフが自己申請することでポイントを付与する仕組みです。

木村先生が意識したのは、勤務時間外に行われがちな努力を可視化することでした。

診療中には見えないけれど、医院のために準備してくれていること。
帰りの電車の中で提出してくれていること。
家で勉強してくれていること。

そうした行動を一つひとつ洗い出していくと、スタッフが医院のために多くのことをしてくれていると分かりました。

ポイント評価は、単なる点数化ではありません。

見えない努力に気づき、言葉にし、評価するための仕組みです。

まさに、DoctorHR導入時に木村先生が求めていた「見えない頑張りを評価したい」という思いを形にする機能でした。


1on1面談で、ビジョン形成と目標設定を支援

制度をつくるだけでは、組織は変わりません。

木村先生の医院では、1on1面談や面談シートを活用し、スタッフ一人ひとりのビジョン形成と目標設定を支援しました。

医院の目標と、個人の目標。
個人の目標と、日々の行動目標。
その行動をどう振り返り、次にどうつなげるか。

このPDCAを、院長とチーフ陣が一緒に回していきました。

人事評価制度を“査定の場”で終わらせるのではなく、スタッフの未来を一緒に考える場にする。

この運用こそが、DoctorHRを成長支援制度として機能させるうえで重要なポイントでした。


スタッフが自ら目標に向かって動き始めた

制度運用を続ける中で、医院には少しずつ変化が生まれました。

資格取得に挑戦するスタッフが増えました。
歯科助手のスタッフが、歯科衛生士学校へ進学しました。
院内に置いてある本を読み、読書感想文を書くスタッフが増えました。
ヒヤリハットや企画書の提出も増えました。
学会で発表するスタッフも出てきました。
レクリエーションを企画するスタッフも現れました。

木村先生が実感したのは、スタッフが「自分で立てた目標」に向かって動き始めたことでした。

医院から言われたからやるのではなく、自分の成長のために動く。

これは、評価制度を成長支援制度として運用してきたからこそ生まれた変化です。

採用にも生きた、キャリアパスの言語化

ドミノ退職後、採用は大きな課題でした。

木村先生は「2か月後までに、何が何でも2名以上採用する」と決断し、チーフやスタッフにもその意思を伝えました。

そこから、条件面の見直しにも着手しました。

髪色やカラコンなどのルール緩和。
待遇面の改善。
スタッフによるSNS投稿への協力。

そして、DoctorHRで整えたキャリアパスも採用に生きました。

求人広告に、将来どのような役職を目指せるのか、何年後にどの程度の給与を目指せるのかを掲載できるようになったのです。

結果として、中途3名・新卒1名の採用につながりました。

求職者にとって、入職後の未来が見えることは大きな安心材料になります。

DoctorHRで整えた評価制度やキャリアパスは、既存スタッフの成長支援だけでなく、新しい仲間を迎える採用活動にも活かされました。


採用にも生きた、キャリアパスの言語化

木村先生は、人事評価制度について「構築後が大事」だと語っています。

最初から完璧な制度をつくることはできません。

まず半年運用してみる。
そこで見えた課題を修正する。
さらに半年運用して、また改善する。

このように、制度は試行錯誤しながら育てていくものです。

木村先生の医院でも、最初からすべてがうまくいったわけではありません。

多くの評価機能を試しながら、自院に合うものを残し、合わないものを減らしていきました。

その過程で重要だったのが、DoctorHRのサポートです。

人事評価制度の知識がゼロの状態からでも、医院の状況に合わせて制度を構築できる。
評価項目やグレードを言語化する際にも、伴走してくれる。
導入後も改善を支援してくれる。

木村先生は、一人で制度をつくるのは非常に難しいと振り返ります。

だからこそ、医院の考えや現場の状況を整理しながら、制度として形にしていくサポートが重要でした。


スタッフの成長は、医院の成長そのもの

木村先生は、現在の人事評価制度を「成長支援制度」と捉えています。

スタッフの成長は、医院の成長そのもの。
スタッフのやりがいや生きがいを育むことが、院長自身のやりがいや生きがいにもつながる。

ドミノ退職という大きな危機を経験したからこそ、木村先生はその価値観にたどり着きました。

自分のやりたいことだけを追いかけ、誰かを犠牲にして進む働き方では、最終的に孤立してしまう。

一方で、スタッフがやりがいを持ち、成長し、笑顔で働けるようになることは、医院全体の幸せにもつながっていきます。

今いるスタッフと長く働きたい。
スタッフがやりがいや生きがいを持って働ける医院にしたい。
医院を、スタッフの自己実現の舞台にしたい。

そう考える医院にとって、DoctorHRは単なる評価システムではありません。

医院の理念を言葉にし、求める行動を明確にし、スタッフの成長を支援するための土台です。


まとめ

医院経営において、離職は大きな課題です。

しかし、単に「辞めない組織」を目指すだけでは、本質的な解決にはなりません。

大切なのは、医院にとって必要な人材が力を発揮し、成長し続けられる組織をつくることです。

高針台デンタルオフィスでは、移転開業後の急拡大により、チーフの疲弊、早期退職、ドミノ退職、業績悪化という困難に直面しました。

一方で、DoctorHR導入の背景には、移転によってスタッフ数が増え、院長の感覚だけでは評価しきれなくなったという課題がありました。

そして導入の決め手は、スタッフの見えない頑張りを評価し、納得感のある給与決定につなげられることでした。

その後、木村先生はドミノ退職という危機をきっかけに、自分自身のあり方と向き合い、医院の理念にスタッフの幸せと自己実現を組み込みました。

そしてDoctorHRを活用し、人事評価制度を“成長支援制度”へと再定義しました。

評価・グレード・給与制度を連動させる。
360度評価で良いところを見える化する。
行動基準評価で求める行動を言語化する。
ベスト投票で称賛される行動を増やす。
ポイント評価で見えない頑張りに光を当てる。
1on1面談で目標設定と成長を支援する。
キャリアパスを明示し、採用にも活かす。

その積み重ねによって、スタッフは自ら目標に向かって動き始めました。

DoctorHRは、単なる査定のためのツールではありません。

スタッフの成長を支え、医院の理念を浸透させ、組織を前向きに育てていくための仕組みです。

ドミノ退職という危機から、スタッフが自ら成長する医院へ。

高針台デンタルオフィスの取り組みは、離職や組織づくりに悩む多くの医療機関にとって、大きなヒントになるはずです。

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