はじめに:財源ができた今こそ、賃上げを「制度」に変えるタイミング
「ベースアップ評価料を算定しているが、スタッフの不満が消えない」
「財源はできたものの、誰に・いくら・どのように配分すればよいかわからない」
「賃上げしたのに、かえってスタッフ間に不公平感が生まれてしまった」
こうした悩みを抱える歯科医院は少なくありません。
2024年の診療報酬改定で新設されたベースアップ評価料は、医療機関に勤務する職員の処遇改善を後押しするための重要な制度です。歯科医院にとっても、スタッフの賃金改善に取り組む大きなきっかけとなりました。
ただし、ここで注意したいのは、財源があることと、賃上げを適切に設計できることは別問題だという点です。
ベースアップ評価料は、単に「給与を上げるための財源」として見るだけでは十分ではありません。むしろ、これまで曖昧になっていた給与の決め方、昇給の基準、スタッフの成長支援の仕組みを見直す絶好のタイミングと捉えるべきです。
本記事では、ベースアップ評価料を活用した賃上げ設計の考え方と、これをきっかけに歯科医院が評価制度を整えるための具体的なステップを解説します。
※本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。実際の届出・算定・賃金規程の変更については、最新の厚生労働省資料や地方厚生局の案内を確認し、必要に応じて社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
第1章|ベースアップ評価料とは何か:制度を正しく理解する

ベースアップ評価料の背景と目的
ベースアップ評価料は、医療機関等に勤務する職員の処遇改善を目的として、2024年の診療報酬改定で新設された評価です。
背景には、医療現場における人材不足、物価上昇、他産業との賃金差、医療従事者の確保・定着といった課題があります。国としても、医療機関が継続的な賃上げに取り組みやすくなるよう、診療報酬上の評価を設けたという位置づけです。
歯科医院においても、歯科衛生士、歯科技工士、歯科業務補助者など、医療提供体制を支える職員の賃金改善に活用できる制度として注目されています。
なお、対象となる職種の範囲は、年度改定や届出区分によって取り扱いが異なる場合があります。特に受付・事務職員を含める場合は、最新の通知・届出様式・地方厚生局の案内に基づいて確認することが重要です。
2026年度改定で押さえておきたいポイント
令和8年度診療報酬改定では、ベースアップ評価料についても見直しが行われています。
主なポイントとして、対象職員の範囲や評価の仕組み、届出様式などが見直されています。また、令和8年6月以降に算定する場合、これまでベースアップ評価料の届出を行っていた医療機関であっても、改めて届出が必要となるケースがあります。
そのため、過去に届出をしたからといって、そのまま同じ運用を続けられるとは限りません。自院がどの評価料に該当するのか、どの様式で届け出る必要があるのかを、必ず最新情報で確認する必要があります。
実務上、特に重要な3つの対応
ベースアップ評価料を活用するうえで、実務上特に重要になるのは以下の3つです。
- 届出
- 賃金改善計画の作成
- 賃金改善実績報告
どの職員の給与を、いつ、どのように改善するのかを計画として整理し、所定の様式に基づいて届け出ます。その後、実際に賃金改善が行われたかどうかを報告する必要があります。
つまり、ベースアップ評価料は「算定して終わり」の制度ではありません。
算定した収入を、対象職員の基本給または毎月決まって支払われる手当の引上げ、またそれに伴う賞与・時間外手当・法定福利費等の増加分に適切に充てていく必要があります。
よくある誤解:「算定額=そのまま昇給額」ではない
多くの院長が誤解しやすいのが、ベースアップ評価料で得た金額を、そのままスタッフの昇給額として単純に配分すればよいという考え方です。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
ベースアップ評価料による収入は、医院の収入として計上されます。一方で、賃上げを行えば、基本給や手当の増加だけでなく、賞与、時間外手当、社会保険料の事業主負担分などにも影響が出ます。
また、基本給に反映するのか、毎月支払う手当として設計するのかによっても、翌年度以降の固定費への影響は変わります。
したがって、「算定額がこれだけあるから、全員にそのまま同額を上乗せする」という考え方では、後から経営を圧迫したり、スタッフ間に不公平感を生んだりする可能性があります。
第2章|設計なき賃上げが引き起こしやすい4つの問題

財源ができたからといって、設計なく賃上げを実施すると、現場では思わぬ問題が起こりやすくなります。
問題1|優秀なスタッフほど不満を持ちやすい
一律で全員を同額昇給した場合、「頑張っている人」と「そうでない人」が同じ扱いになります。
もちろん、一律のベースアップには安心感や公平感というメリットがあります。しかし、日々の貢献度や役割の違いがまったく反映されない場合、高い成果を出しているスタッフほど「自分の頑張りが評価されていない」と感じやすくなります。
結果として、医院にとって重要なスタッフのモチベーション低下や離職リスクにつながる可能性があります。
問題2|期待値だけが上がってしまう
ベースアップ評価料の存在は、スタッフ側にも伝わりやすい情報です。
制度の存在を知ったスタッフが、「医院には賃上げの財源があるはず」と感じることは自然です。その状態で、昇給額の根拠や配分方針が説明されないまま賃上げが行われると、「なぜこの金額なのか」「なぜあの人と同じなのか」という疑問が生まれます。
本来、賃上げは前向きな施策であるはずです。しかし、説明が不足すると、感謝ではなく不満のきっかけになってしまうことがあります。
問題3|低パフォーマーが固定化しやすい
評価と無関係に昇給が続くと、「何をしても給与が上がる」「頑張っても頑張らなくても変わらない」というメッセージとして受け取られる可能性があります。
これは、組織全体の成長意欲に悪影響を与えます。
特に少人数の歯科医院では、一人ひとりの行動が医院全体の雰囲気に大きく影響します。だからこそ、賃上げとあわせて「何を期待しているのか」「どのような行動を評価するのか」を明確にすることが重要です。
問題4|計画と実態のズレがリスクになる
ベースアップ評価料では、賃金改善計画や実績報告が求められます。
そのため、計画上は賃金改善を行うことになっているにもかかわらず、実態と大きくズレている場合、算定要件上の問題となる可能性があります。
「なんとなく上げた」「後から説明できない」という状態では、計画との整合性を示しにくくなります。制度対応の観点でも、賃上げの方針や計算根拠を整理しておくことが重要です。
第3章|賃上げ設計の3ステップ

では、ベースアップ評価料を活用して、どのように賃上げを設計すればよいのでしょうか。
ここでは、歯科医院が取り組みやすい3つのステップで整理します。
STEP1|現在の給与構造を棚卸しする
まず取り組むべきことは、現在の給与体系を見える化することです。
多くの歯科医院では、給与の決まり方が次のような要素で成り立っています。
- 採用時の交渉
- 勤続年数による慣習的な昇給
- 院長の感覚
- 前職給与との比較
- その時々の人手不足感
これらが悪いわけではありません。しかし、積み重なると、給与の根拠が説明しにくくなります。
まずは、以下の軸で整理してみましょう。
- 職種別の給与分布
- 勤続年数別の給与分布
- 基本給・手当・賞与の内訳
- 常勤・非常勤・パートスタッフのルール
- 役職手当や職務手当の有無
- 昇給のタイミングと決定基準
この棚卸しを行うと、たとえば「勤続年数の差に対して給与差がほとんどない」「役割が増えているのに手当がない」「新人採用時の給与が既存スタッフを上回っている」といった課題が見えてきます。
賃上げ設計は、いきなり金額を決めるのではなく、まず現状の歪みを把握することから始まります。
STEP2|財源の配分方針を決める
次に、ベースアップ評価料を活用して、どのような形で賃金改善を行うかを決めます。
主な選択肢は次の3つです。
1. 基本給に反映する
基本給を引き上げる方法です。
スタッフにとっては安定感があり、求人票上でも訴求しやすい方法です。一方で、翌年度以降も固定費として継続するため、医院の収支計画とあわせて慎重に設計する必要があります。
評価制度や昇給テーブルがある程度整っている医院では、基本給への反映がしやすくなります。
2. 毎月決まって支払われる手当として設計する
「賃上げ手当」「処遇改善手当」など、毎月固定で支払う手当として設計する方法です。
基本給改定よりも管理しやすい場合がありますが、スタッフから見ると「この手当はいつまで続くのか」「基本給とは何が違うのか」という不安につながることもあります。
そのため、手当として設計する場合でも、支給目的、対象者、計算方法、見直し時期を明確にしておくことが重要です。
3. 基本給+評価連動分を組み合わせる
全員に一定のベースアップを行いながら、役割や評価に応じた加算を組み合わせる方法です。
たとえば、全員に一定額の賃金改善を行い、そのうえで職種・役割・評価に応じて追加の昇給幅を設定するイメージです。
この方法は、一律の安心感と、評価に応じた納得感を両立しやすい点が特徴です。
ただし、評価連動分を設ける場合は、評価基準や賃金規程との整合性を確認する必要があります。院長の感覚だけで金額を変えるのではなく、スタッフに説明できるルールとして整えることが重要です。
STEP3|昇給ルールを言語化して伝える
賃上げ設計で最も重要なのは、金額そのものだけではありません。
それ以上に重要なのは、次の3点をスタッフに説明できる状態にすることです。
- なぜこの金額なのか
- 何が評価されたのか
- 今後どうすればさらに上がるのか
この3点が伝えられない場合、どれだけ賃上げをしても、スタッフには「院長の気分で決まった」と受け取られてしまう可能性があります。
逆に、金額が大きくなくても、根拠が明確であれば納得感は高まりやすくなります。
賃上げは、金額を渡すだけではなく、医院として期待する行動や成長の方向性を伝える機会でもあります。
第4章|ベースアップ評価料をきっかけに評価制度を整える
ここからが、ベースアップ評価料を活用するうえで特に重要な視点です。
ベースアップ評価料は、単なる賃上げ財源ではなく、医院の評価制度を整えるきっかけとして活用できます。

なぜ今が評価制度整備のタイミングなのか
評価制度の必要性を感じている院長は多くいます。
しかし、実際に制度づくりに踏み出せない医院も少なくありません。
理由は明確です。
- 忙しくて後回しになる
- 何から始めればよいかわからない
- スタッフに反発されそうで不安
- 給与にどうつなげるべきかわからない
ところが、ベースアップ評価料によって、状況が変わりました。
賃金改善計画を作る必要がある。賃上げの根拠を整理する必要がある。スタッフにも給与改善への期待が生まれている。
つまり、評価制度整備に取り組む理由が、外部環境として生まれたのです。
このタイミングを活かせば、これまで曖昧だった「給与の決め方」を見直し、スタッフの成長支援につながる制度へと整えることができます。
評価制度づくりでよくある失敗
評価制度を整える際には、最初から完璧な制度を作ろうとしすぎないことが重要です。
よくある失敗は、次の3つです。
失敗1|完璧な制度を目指して頓挫する
評価項目を20個以上設定し、5段階評価の細かいシートを作り、マニュアルまで整備しようとして、完成前に止まってしまうケースです。
評価制度は、最初から完成形を目指す必要はありません。まずは小さく始め、運用しながら改善することが大切です。
失敗2|外部テンプレートをそのまま使う
人事コンサルや書籍のテンプレートをそのまま使うと、歯科医院の現場に合わない項目が出てきます。
たとえば、一般企業向けの評価項目をそのまま持ち込んでも、患者対応、診療補助、メンテナンス、電話対応、院内連携といった歯科医院特有の業務が十分に反映されないことがあります。
制度は、医院の現場に合わせて言語化する必要があります。
失敗3|作っただけで運用されない
評価シートを作ったものの、年1回配布して回収するだけになってしまうケースです。
フィードバック面談がなく、昇給への反映も曖昧なままだと、スタッフは「評価されても何も変わらない」と感じます。
評価制度は、シートではなく運用が本体です。
第5章|最小限から始める評価制度整備の4ステップ

評価制度は、大がかりに始める必要はありません。
まずは、医院の規模に合わせて、シンプルに始めることが重要です。
STEP1|評価軸を3つだけ決める
最初は、評価軸を3つに絞ることをおすすめします。
スキル軸
資格、技術の習熟度、業務範囲の広さ、専門性などを評価します。
例:
- 歯科衛生士として担当できる処置の範囲
- メンテナンス対応の質
- 患者説明のわかりやすさ
- 診療補助の正確さ
行動軸
日々の行動、チーム貢献、患者対応、主体性などを評価します。
例:
- 患者さんに対して丁寧な説明ができている
- 忙しい時間帯に周囲をサポートしている
- クレームやトラブル時に落ち着いて対応できる
- 自分から改善提案をしている
役割軸
医院内で担っている役割や責任を評価します。
例:
- 後輩育成を担当している
- 在庫管理や予約管理を任されている
- チーフとしてチームをまとめている
- 院内ルールの定着に貢献している
この3軸だけでも、給与や昇給の根拠はかなり説明しやすくなります。
STEP2|A4一枚の評価シートを作る
最初から複雑な評価シートを作る必要はありません。
職種別に5〜7項目程度に絞り、3段階または5段階で評価できるシートを作ります。
重要なのは、評価項目を増やすことではなく、スタッフが読んで理解できる言葉にすることです。
たとえば、単に「主体性」と書くのではなく、次のように具体化します。
- 指示を待つだけでなく、必要な業務を自分で見つけて動ける
- 患者さんやスタッフの困りごとに気づき、先回りして対応できる
- 医院の改善点を見つけ、院長やチーフに提案できる
このように言語化することで、スタッフは「何をすれば評価されるのか」を理解しやすくなります。
STEP3|まずは昇給に直結させず、試行する
初回からいきなり評価結果を給与に反映させると、評価者側もスタッフ側も緊張感が強くなりすぎる場合があります。
最初の1回は、昇給に直結させず、評価とフィードバック面談だけを行う方法も有効です。
この段階では、次のような点を確認します。
- 評価項目が現場に合っているか
- 評価基準が曖昧すぎないか
- スタッフが納得できる言葉になっているか
- 面談で成長課題を共有できるか
試行期間を設けることで、制度への抵抗感を下げ、運用しながら改善できます。
STEP4|賃上げ・昇給と連動させる
評価制度の運用に慣れてきたら、評価結果を昇給や手当に反映させていきます。
ここで重要なのは、「A評価だからいくら」という機械的な通知だけで終わらせないことです。
面談では、次のように伝えることが大切です。
- 今回評価できた行動
- 今後さらに期待したい役割
- 次回評価までに伸ばしてほしい点
- 昇給額や手当の根拠
評価制度は、給与を決めるためだけのものではありません。
スタッフが自分の成長課題を理解し、次に何を頑張ればよいかが見える状態を作ることが本来の目的です。
第6章|スタッフを巻き込んだ制度設計が成功の鍵

評価制度は、院長だけで作ると運用が難しくなることがあります。
理由は2つあります。
1つ目は、現場の実態が反映されにくいことです。
院長が「大事だ」と思う行動と、スタッフが「もっと評価してほしい」と感じている行動には、ズレがあることがあります。
2つ目は、制度が「院長から管理されるための道具」として受け取られやすいことです。
どれだけ論理的な制度であっても、一方的に作られた基準は、スタッフにとって納得しにくい場合があります。
一方で、制度づくりの前にスタッフの声を聞くことで、評価制度は「院長の管理ツール」ではなく、「医院全体の共通ルール」になりやすくなります。
制度導入前に聞いておきたい5つの質問
評価制度を導入する前に、スタッフに以下のような質問をしてみることをおすすめします。
- 今の医院で、もっと評価されてほしいと思う行動はありますか?
- 自分が成長したと感じるのは、どんなことができるようになったときですか?
- 給与や待遇について、今後どのような見通しがあると安心できますか?
- 評価される仕組みがあるとしたら、何を見てほしいですか?
- 今の医院で、不公平だと感じることはありますか?
このヒアリングを行うだけでも、スタッフは「制度を一緒に作る当事者」になりやすくなります。
すべての意見をそのまま制度に反映する必要はありません。しかし、意見を聞いたうえで制度を設計することが、納得感のある運用につながります。
第7章|賃金改善計画と評価制度を連動させる

ベースアップ評価料の算定にあたって作成する賃金改善計画は、単なる提出書類として処理するだけではもったいないものです。
この計画を、院内の評価制度づくりと連動させることで、医院の成長支援の仕組みに変えることができます。
たとえば、賃金改善計画を作成する際に、次の内容をあわせて整理します。
- どの職種を対象にするのか
- 基本給と手当をどう分けるのか
- 一律部分と評価連動部分をどう設計するのか
- 昇給のタイミングをいつにするのか
- 評価面談をいつ実施するのか
- 次回の見直し時期をいつにするのか
このように整理すると、賃金改善計画は単なる義務的な書類ではなく、評価制度の設計図として機能します。
ベースアップ評価料という外部制度を、医院内部の成長支援制度に変えていくことが重要です。
第8章|評価制度が整った医院が得られる3つの経営メリット

評価制度を整えることは、スタッフのためだけではありません。
院長自身の経営を安定させるうえでも、大きな意味があります。
メリット1|定着率の向上につながる
スタッフが離職する理由は、給与の金額だけではありません。
「頑張っても評価されない」
「将来の給与がどう上がるかわからない」
「自分の役割が曖昧」
こうした不安や不満が積み重なることで、離職につながります。
評価制度によって、成長の方向性や昇給の見通しが見えるようになると、スタッフは安心して働きやすくなります。
採用費、教育工数、引き継ぎの負担を考えると、定着率の向上は医院経営にとって大きなメリットです。
メリット2|採用ブランディングが強くなる
求人票に「昇給あり」と書くだけでは、求職者には具体的なイメージが伝わりにくいものです。
一方で、次のように伝えられる医院は、求職者にとって魅力的に映ります。
- 評価制度あり
- 昇給基準が明確
- 年1回のフィードバック面談あり
- スキル・役割に応じたキャリアアップ制度あり
特に歯科衛生士など専門職の採用では、給与額そのものだけでなく、「入職後にどう成長できるか」「どのように評価されるか」が重要な判断材料になります。
評価制度は、採用における差別化要素にもなります。
メリット3|院長の判断負担が減る
評価制度がない状態では、院長は毎年「誰をいくら上げるか」を感覚的に判断しなければなりません。
これは想像以上に大きな負担です。
評価制度が整うと、昇給判断の基準が明確になります。もちろん最終判断は院長が行うとしても、判断の土台があることで迷いが減ります。
結果として、院長は給与調整の悩みに時間を取られすぎず、採用、診療品質、医院の成長戦略に集中しやすくなります。
まとめ|ベースアップ評価料は、賃上げを制度に変えるきっかけ

ベースアップ評価料は、単なる賃上げの財源ではありません。
歯科医院にとっては、これまで曖昧になっていた給与の決め方、昇給の基準、スタッフの成長支援を見直すきっかけになります。
もちろん、評価制度は最初から完璧に作る必要はありません。
A4一枚の評価シートでも構いません。15分のフィードバック面談から始めても構いません。
大切なのは、賃上げを「なんとなく配る」のではなく、医院としての期待や成長の方向性と結びつけることです。
設計のない賃上げは、不公平感や説明不足を生みやすくなります。
一方で、設計された賃上げと評価制度の整備は、スタッフの納得感、定着、採用力、医院全体の成長につながります。
ベースアップ評価料をきっかけに、単なる給与改善で終わらせず、医院の未来を支える評価制度づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。
今すぐできる賃上げ設計チェックリスト

以下の項目を確認し、未対応のものがあれば、そこから着手することをおすすめします。
- 現在の給与体系を職種別・勤続年数別に一覧化している
- 基本給・手当・賞与の内訳を整理している
- ベースアップ評価料の対象職員を最新の届出様式に基づいて確認している
- 財源の配分方針を決めている
- 基本給に反映するか、毎月支払う手当として設計するかを整理している
- 昇給の根拠をスタッフに説明できる
- 評価軸をスキル・行動・役割の3つで整理している
- 評価シートをA4一枚で作成している
- 評価結果を伝える面談の予定を組んでいる
- 賃金改善計画と評価制度の運用スケジュールを連動させている
- 必要に応じて、社会保険労務士など専門家に確認している
1つでも未対応の項目がある場合は、そこが最初の取り組みポイントです。
本記事に関するご相談や、歯科医院向けの評価制度設計については、お気軽にお問い合わせください。





